大切な人の思い出に彩りを添えられるという喜び。ハンドメイドと私。

数日前のこと。お世話になっている先輩から、嬉しいLINEが届きました。

「明日梨ちゃんこんにちは☺次女の1歳半記念に写真スタジオで撮影したんだけど、この間もらったヘアピンを使わせてもらいました✨とってもかわいく撮れたよ😍ありがとう!」

メッセージと共に添えられた写真には、微笑ましい姉妹の笑顔。

涙が出そうなくらい、心温まる気持ちになりました。

 

この姉妹が着けてくれている小花のヘアピンは、私がハンドメイド作家として「sucre croche」というブランドで製作したものです。

目次

親子での手芸が楽しかった子どもの頃

私は幼い頃から、母の影響で手芸と親しんで育ちました。

当時住んでいた地域で毎年開催されていたバザーでは、二人でいろんなものを手作りして販売したものです。

母との関係は常に良好というわけではなかったのですが、子どもの頃に「こんなお母さんでよかった」と思えた一番の思い出かもしれません。

 

ガラケー時代に撮影していた当時の作品。

忙しい日々の中で、誰かのための手作りを

小学校を卒業するくらいまでは、母に習いながら裁縫やビーズ、編み物などいろんなことに取り組んだのですが、中学生になってからは勉強と部活(吹奏楽部)の両立で頭がいっぱいになり、だんだんと手芸をする時間が減っていきました。

とはいえ、中高6年間の間、年に一度だけは必ず手芸をする時間がありました。

それは、吹奏楽コンクール前の時期。

金賞を取れますようにという願いを込めながら、フルートパートでお揃いのアイテムを毎年作っていました。

 

大学生になってからはサークルの掛け持ちとバイトと授業でさらに忙しくなり、年間の休日が片手で数えられるほどの生活を送りながら、手芸をしたいという気持ちだけはずっとどこかにあって、実家から引っ越しの際には狭い一人暮らしの家にわざわざ材料を持ってきてずっと保管していました。

何かのために作る機会はときどきあって、例えば浴衣での演奏機会に、手早くではありながらもお揃いの髪留めを作ったら後輩の女の子たちが一緒に着けてくれて嬉しかったです。

 

大学院生になると少しだけ時間の余裕ができたので、レジンや羊毛フェルトで凝った作品を後輩にプレゼントすると喜んでもらえたのも、とても嬉しかった思い出です。

 

こちらはなかなかの自信作。

FSSO(福岡学生シンフォニーオーケストラ)という、私自身が学部生の頃に常務委員を務めていた5大学合同オーケストラの後輩が考案したオリジナルキャラクターを、当時現役だった後輩常務委員の子たちにプレゼントしました。

 

また、研究室の先輩の発案で子ども向けに企画した「オタマトーン」という楽器の演奏会で、クイズに正解した子へのプレゼントとしてフェルトでバッジを作ったこともありました。

これらの材料はすべて、今ではダンボールの中に眠ってしまっているのですが。。

自分のためにも少々

たまには自分のために実用的なものを作ることもありました。

例えば、私にとっての初代Macbookのカバー。

 

こちらは、演奏会運営をする際に便利だったスマホポーチ。

今思うと、流行を先取りしてますね。笑

 

寒い冬を乗り越えるためのマフラー。

 

それから、社会人になりたての頃に作ったランチトートとカメラケース、2代目MacBookのカバーなど。

手作りの楽しさを忘れてしまった日々

その後数年間は、何かを手作りした記憶がほとんどありません。

社会人になってから何度か引っ越しをしましたが、手芸の材料を入れたダンボールは開封されないまま運ばれるだけ。

母が作った作品の写真がときどきLINEで送られてきて、帰省の度に「あなたも何か作ったら?」と言われながらも、当然のように「仕事が忙しくてそんな暇ないんだよね」と返事をしていました。

 

そんな私に、あるとき転機が訪れました。

うつ病になり、会社へ行けなくなってしまったのです。

病気になって改めて思い出した、私の好きなこと

ここでは詳細を割愛しますが、特につらいのが、今でも治らない不眠症。

毎日ものすごい倦怠感に襲われるのに、ぐっすり眠ることができず、起きている時間をどのようにやり過ごそうか悩む中で、ホビーラホビーレさんが販売しているクロスステッチのキットを店頭で見つけて「これだ!」と思いました。

 

毎日少しずつ縫い進め、完成したのは、私の大好きなオーケストラの楽器たち。

日々の進捗をSNSにアップすると、友人たちから反響があったのも嬉しかったです。

レース編みに目覚めたきっかけ

クロスステッチのオーケストラが完成した頃、当時付き合っていた彼からプロポーズを受け、婚約することになりました!

そこで、次に作ろうと思い立ったのが、クロッシェ(レース編み)のリングピロー。

実はこのとき、結婚は決まったものの結婚式をやるかどうかはまだ決まっていなかったのですが、店頭で見つけたホビーラホビーレさんのキットを衝動買いしてしまいました。笑

このことがきっかけでレース編みに目覚めることとなり、のちの私へと繋がります。

うさぎのあみぐるみ製作に没頭する日々

また、ユザワヤさんで見つけたあみぐるみの本を見つけて、大好きなうさぎのあみぐるみを作りたい!と思うようになりました。

しかしながら、どの本を読んでも、私が気に入るうさぎの編み図(かぎ編みをする際の設計図のようなもの)が見つかりません。

そこで、自分で編み図を考えながら試行錯誤する日々が始まりました。

 

苦労の末に完成したうさぎさんと、その過程で没になった子たち。

手に持っているすずらんも手編みですが、使用した40番のレース糸が細くてなかなかに大変でした。

このときに生まれたうさぎの編みぐるみも、のちの私に大きく繋がります。

ハンドメイド作家としてデビュー

その頃の私には、気になっていたイベントがありました。

それは、全国のクリエイター・アーティストが集まるハンドメイドマルシェです。

私の親友であるあゆみん(@310_aym)がハンドメイド作家として先に活動していた影響もあり、私もそういったイベントへ出展してみたいと思うように。

 

そこで、キャンセル待ちになっていた東京ハンドメイドマルシェ2022秋に申し込んだところ、なんと出展できることになり、慌てて準備を始めることになりました。

ちなみに、「sucre」はフランス語で「砂糖」を意味し、私の苗字である「佐藤」とかけ、「croche」はフランス語で「レース編み」を意味する「crochet」から敢えてtを除き、合わせて「sucre croche」と命名しました。

tを除いたきっかけは文字数バランスの問題でしたが、実は「croche」はフランス語で「八分音符」を意味し、私の好きな音楽とも繋がるのです!

 

残念ながら初出展の結果は赤字でしたが、うさぎの編みぐるみを看板に、立ち寄ってくれた方がいて、購入してくれた方が一人でもいてくれて、とても嬉しかったです。

近くのブースでは、お母さんと娘さんが一緒に出展している様子もあり、なんだか自分が子どもの頃を思い出したりもしました。

友人たちからのアドバイスのおかげで

その後、売れるためにどんなものを作ればいいのだろうかと考える時間が多くなりました。

おそらくほとんどの作家さんが直面する悩みだと思いますが、作りたいものと売れるものが一致するわけではなくて。

ブランド価値を高めるためには、ターゲットと方向性を絞って「刺さるもの」を作っていく必要があるのはわかっていながら、レース編みもしたいし、編みぐるみも作りたいし、なかなか自分の焦点が定まりません。

SNSでの発信も重要ですが、どうにも物撮りが上達せず。。。(特にライティング)

 

また、ハンドメイドマルシェにてうさぎの編みぐるみを見て立ち止まってくれた人の多くは、値段を見て購入を避けられてしまいました。

しかし、編みぐるみは一つ作るのにとても時間と労力が要るため量産することが難しく、安易に価格を下げるわけにもいきません。

好きなことをしているはずなのに、悩む時間が増えてしまったのは正直苦しくて、夫にも心配されました。

 

けれども、先に登場したあゆみんや、子育て中の友人すうじいのアドバイスによって生まれた作品が。

そう、この記事の冒頭の写真にて、可愛い姉妹が着けてくれた小花のヘアピンです!

小花を3連にするアイデアはあゆみんから、子どもの細い髪にも留まるように滑り止め付きのクリップがいいというアイデアはすうじいから。

 

私は子どもが好きで、子ども向けの作品を作りたいとずっと思っていました。

そんな中、二人のおかげでお気に入りの新作が生まれて、私の姪っ子やすうじいの娘さんにプレゼントしたら、とても似合っていて嬉しかったです。

 

それから、こちらは大人向けですが、あゆみんのアドバイスで生まれた小花の3連ピアス/イヤリングもお気に入り。

いろんな配色を考えるのが楽しいです♪

友人と共同でハンドメイドマルシェに出展

そうして少し自信がついてきた頃、あゆみんに誘われて、一緒にHandMade In Japan Fes 2023冬へ出展することになりました。

お隣のブースにあゆみんがいるのは心強くて、すうじいや他の友人も来店してくれて、とても嬉しかった思い出です。

 

おめかしして来てくれた、一番小さなお客様♡

 

現場でツーショットを撮り損ねたのですが、こちらがイケメンあゆみんです♡

手作り品が満載となった自身の結婚式

HandMade In Japan Fesが終わると、私は作家活動を休止して結婚式に向けた準備へ没頭することになったのですが、これまでの経験の積み重ねによって、先に登場したリングピローをはじめとしたたくさんの手作り品で私の理想の空間を作ることができました!

リングガールを務めてくれた姪っ子たちも、私がプレゼントしたヘアゴムを着けてくれていてとっても嬉しかったです。可愛かった~♡

 

結婚式を終えた後、招待した後輩から「手作り品が多すぎてちょっと引きました」と言われたのは、褒め言葉として受け取ってもよいのでしょうか。笑

どんな結婚式だったのかを全力で紹介したいのですが、その全貌はまたの機会に。

人に教える楽しさも

その後、別の後輩から「自分の結婚式で紫陽花を作りたい」との相談があり、その子の家で一緒に作ってみることに。

人に教えるのは初めて少し緊張しましたが、思っていたよりずっと楽しくて。

 

その日の私は最初の一歩しか教えられなかったのに、当日会場へ行くと、とっても素敵に仕上がっていてびっくり!

夫婦ならではのアイデアも加わっていて、私も幸せな気持ちになりました。

ブランディングよりも、私が大切にしたいこと

私自身の結婚式を終えて、sucre crocheの活動を再開しようと思ったのですが、何故か気持ちが乗らない日が続きました。

体調は以前より随分回復したものの、まだ本調子でない中、ありがたいご縁で新しい仕事を始めることになったり、音楽活動にも力を入れたくなったりしつつ、ハンドメイド活動は後回しに。

 

なんだか悶々としていたところ、冒頭に登場した先輩と会う日の直前にふと思いつき、在庫のあったヘアピンをプレゼントしてみたら、その場で喜んでもらえた上に後日あのような連絡があり、とても嬉しい気持ちになりました。

あの日は猛暑の中、先輩は小さな娘さんを2人も連れて私に会いに来てくれて。

きっと楽な移動ではないはずと想像しながら、私と会ってもらうことにどれだけの価値を提供できるのだろうかと思い、私ならではのプレゼントを用意したのですが、まさか記念写真を撮影する際に着けてくれるなんて。

 

そうして私が気づいたのは、私が手作りすることで大切な人に喜んでもらえたときが、私にとって一番喜びを感じる瞬間だということです。

ハンドメイド作家としてブランディングを成功させることではなく、身近な人のために、時には自分のためにも、好きなときに好きなものを作れたらいいのかなと思いました。

これからのこと

来月9/2~3に出展予定の小倉ハンドメイドマルシェ2023をもって、ハンドメイド作家としての活動を改めて休止しようと思っています。

とはいえ、sucre crocheというブランドを立てたから、生み出すことができた作品があって、喜んでくれた人がいて、それは私の人生にとってかけがえのない実績です。

 

sucre crocheのSNSプロフィールには、こう書いています。

「日常に彩りを♩ レース編み小物やアクセサリー、あみぐるみを製作していますᕱ⑅ᕱ 大人から子ども向けアイテムまで໒꒱」

短い間でも、数人でも、きっと、彩りを添えることができたんじゃないかな。

そんな誇りだけで、今の気持ちはじゅうぶんです。

 

創作自体をやめてしまうわけではないので、もしsucre crocheの作品をお求めの方がいたらご連絡ください。

ただし、在庫がない場合は受注生産かつ、手頃な価格でのご提供は難しいと思うのでその点ご了承いただければ幸いです。

 

また、私が今後プレゼントするであろう友人は、仮に迷惑でも快く受け取ってくれると嬉しいです。笑

どうかこれからも、あなたの日常にそっと彩りを添えられますように。

 

それでは♪

あずり

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